尿潜血陽性
尿潜血と言われて、クリニックを受診された場合、まず、「尿沈渣」という検査を行います。
健康診断などで行われる尿検査は試験紙法といって、リトマス紙みたいな試験紙を使って調べる検査です。この検査は非常に簡便なのですが、「濃度」で判定しているため尿が濃かったり、薄かったりすると異なった結果が出ることがあります。(またビタミンCをとっていると結果が異なる事があります。)
尿沈渣は実際尿を顕微鏡で観察し、尿に混じっている血液の「数」を評価します。また血液の「形」も評価出来ます。
ここで陽性の場合、顕微鏡的血尿となります。
顕微鏡的血尿には、大きく分けて糸球体性、非糸球体性に二分されます。
糸球体性とは、腎臓にある糸球体の異常による血尿です。尿に出る赤血球が変形したり、尿蛋白が出てきたりします。この場合、腎炎の可能性があり、採血検査を行います。結果、腎生検などさらなる検査必要になった場合、近隣の腎臓内科を紹介します。
非糸球体性の場合、泌尿器科疾患が多く含まれます。尿の通り道は腎臓から尿道まであり、どこから出血してもおかしくはありません。結石や膀胱炎など良性の病気がある一方、悪性である『癌』も含まれます。
検査は超音波、尿の中に癌細胞がないかどうかの検査、軟性膀胱ファイバー等を行います。
結果、泌尿器科的疾患が見つかった場合、それぞれに対応していきます。結石の場合は症状がある場合や結石の大きさ、位置もそれぞれ異なりますので、治療法も様々です。癌と診断された場合、どこまで癌が広がっているか検査をする必要がありますが、最終的に手術や放射線、抗がん剤治療が必要となります。その場合、治療を担当する病院に紹介いたします。
ただし、精査により原因不明なことも多く、その場合は経過観察となります。
健診や人間ドック・またかかりつけ医で尿潜血陽性を言われた場合は、症状がないからとほっておかず、はやめに泌尿器科医の受診をお勧めします。